「インスタで人気のあのビーチ、実は撮影禁止かも?」
ハワイ旅行の楽しみといえば、美しい海をバックにした写真撮影。でも、ハワイには「Mālama Hawaiʻi(マラマハワイ)」この島を大切にし、守り、還元するという考え方が根づいており、撮影においてもそれは例外ではありません。2022年以降ホノルル市の規制が一段と厳しくなっているのも、こうした精神の延長線上にあります。
「個人のカメラマンに撮影を依頼したら、許可証がなく当日撮影を中止させられた」「路上駐車で高額な罰金を取られた」そんな失敗をしないために、今知っておくべきハワイ撮影の『シン・常識』をプロの視点で説明します。
この記事でわかること
SNS用ならOK?プロに頼むとNG?「個人」と「商業」の法的な線引き
条例で定める撮影やツアー禁止エリアの最新リスト
ビーチパークではないラニカイビーチが規制される根拠
フィルムパーミット(大型制作)とコマーシャルフォトパーミット(ウェディング等)の違い
スポット別・個人撮影 OK / NG 一覧
ラニアケアビーチ(ウミガメ ビーチ)での撮影ルール
はじめに:マラマハワイの精神と安全な撮影マナー
ハワイでの撮影を考えるとき、最初に大切にしたいのが 「Mālama Hawaiʻi(マラマハワイ)」 の考え方です。
「mālama(マラマ)」とはハワイ語で 「大切にする・守る・還元する」 という意味を持ちます。ハワイ州観光局(HTA)とハワイ観光コンベンションビューロー(HVCB)が2020年に共同で立ち上げたこのプログラムは、当初はボランティアツーリズムの促進として始まりましたが、現在はHTAの 「再生型観光(Regenerative Tourism)」 戦略の中核に位置づけられ、ハワイの自然・文化・地域コミュニティを守りながら観光を持続させる理念として近年とくに強調されています。
参照:Mālama Hawaiʻi 公式プログラム(GoHawaii.com) / HTA Regenerative Tourism
ハワイでは、SNS映えを狙った無謀な撮影や、立入禁止区域への侵入が社会問題になっています。GoHawaii.comのオアフ島向けガイドでは、訪問者に対して以下の行為を避けるよう明確に求めています。
- 危険な崖・波打ち際・立入禁止区域への立ち入りと撮影
- 文化的・宗教的に重要な場所(ヘイアウ=ハワイの聖地など)での無許可撮影
- 野生動物(ウミガメ・モンクアザラシ・クジラ等)への接近や干渉(連邦法・州法による罰則あり)
- 住民の生活道路や私有地への無断立ち入り
こうした行為は、事故や罰金のリスクだけでなく、地域住民の生活や自然環境に深刻な影響を与えます。
「ちょっとくらいいいか」が命取り?日本とハワイの意外な温度差
日本では「立ち入り禁止だけど一瞬なら」とか「撮影禁止だけど1枚だけ」というのを、お互い様という雰囲気で「暗黙の了解」にしてしまう文化がありますよね。「周りもやってるし」「子連れだし仕方ないよね」という日本特有の優しい融通。でも、今のハワイではその感覚が一番のトラブルの元になります。 しかしハワイでは「知らなかった」や「ちょっとだけ」の感覚がそのまま通用しない理由が3つあります。
① ルールは「雰囲気」ではなく「条例」として存在する
カイルアビーチパークやワイマナロの商業活動禁止は、ROH(ホノルル市改正条例)に明文化されており、罰金・退場処分の根拠となります。「誰も見ていないから大丈夫」ではなく、住民が通報する文化が根づいています。実際、ラニカイ地区の住民は違反ツアー会社を写真に収めて当局に報告することで知られており、観光客の違反も同様に記録・通報されるケースがあります。
② 子連れ・家族旅行でも例外はない
「家族の思い出のために」という動機は誰でも理解できます。ただしハワイの法律は動機を考慮しません。たとえばウミガメに近づきすぎた場合、子どもが触れても罰則は保護者に科せられます。「善意だった」「知らなかった」は免責の理由になりません。旅行前にルールを知っておくことが、家族を守ることにもつながります。
③ ハワイのルールの背景には「マラマ」がある
日本のルールの多くは「他人の迷惑にならないため」に設計されています。一方、ハワイのルールの多くは土地・自然・文化を未来に残すために設計されています。ウミガメへの接近禁止も、ビーチパークでの商業活動禁止も、「この島を次の世代に渡すために今を守る」という思想の表れです。
観光客一人ひとりの「ちょっとくらい」が積み重なって、年間1000万人近くが訪れるハワイの自然と住民の暮らしを圧迫してきた——それが、近年の規制強化の根本にある現実です。
マラマハワイは、罰則を恐れて守るものではなく、理解して共感するものです。
美しいハワイの写真を残したいなら、ハワイが美しくあり続けるためのルールを守ることが、長い目で見て最善の選択です。
この記事では、「どこで撮影できるか」だけでなく、「どうすればハワイに敬意を払いながら撮影できるか」 という視点も重視しています。ハワイには 「kuleana(クレアナ)」 という言葉があり、「責任であり、同時に特権でもある」という意味を持ちます。美しい場所を訪れることは特権であり、それを守る責任も同時に伴う——この精神を胸に、ルールとマナーを守った撮影を心がけましょう。
まず押さえるべき基本 「個人撮影」と「商業撮影」の法的な違い
ハワイ州・ホノルル市郡の規定では、撮影活動を大きく2つに分けています。
個人撮影(Personal Use)は基本的に許可不要
旅行の記念写真、家族や友人との自撮り、個人のSNS(フォロワー数に関係なく、無報酬の場合)など、対価を受け取らない撮影は「個人利用」として扱われ、一般的に許可は不要です。
商業撮影(Commercial Activity)は 許可が必要
報酬・対価を受け取るすべての撮影が対象です。具体的には以下が含まれます。
- カメラマンに依頼したウェディングやファミリーフォト、ポートレート撮影
- SNSインフルエンサーとしての案件撮影(スポンサーあり)
- 不動産・広告・雑誌・テレビ等の商業制作
- 映像作品・YouTube収益化コンテンツ用の撮影
例えばハワイウェディングではビーチでの撮影は定番といっていいでしょう、近年、禁止エリアが増える中一番ビーチ撮影で人気のある場所はアラモアナビーチになります。このアラモアナビーチパークはホノルル市が管理管轄していて商業撮影に関しては、1件あたり・月間・年間のパーミット料金が設定(土日祝祭日はまた別規定)されていて、ウェディングなど撮影に関わる会社は事前に許可証を取得してるのが一般的です。
あなたの行きたい場所は大丈夫?ホノルル市が条例で定める撮影やツアー禁止エリアの最新リスト
ホノルル市郡はROH(Revised Ordinances of Honolulu)第10章 §10-1.2を複数の条例改正で更新し、特定エリアでのすべての商業活動(撮影含む)を禁止しています。
【東海岸エリア】マカプウポイントからキャッスルポイントまで
2012年の改正(Bill 11)より継続して禁止されている主要エリアとOrdinance 22-3(Bill 38, 2022年成立)により、東海岸全域と言えるマカプウポイントからキャッスルポイント(カポホポイント)までの以下のビーチパークおよびその間に位置するすべての市郡管轄の海岸権利地(Beach Rights-of-Way and Easements)で商業活動が全面禁止になりました。
禁止対象のビーチパーク
マカプウ・ビーチパーク (Makapu‘u Beach Park)
カウポー・ビーチパーク (Kaupō Beach Park)
カイオナ・ビーチパーク (Kaiona Beach Park)
ワイマナロ・ビーチパーク (Waimānalo Beach Park)
フナナニホ (Hūnānāniho / 旧:ワイマナロ・ベイ・ビーチパーク)
ベローズ・フィールド・ビーチパーク (Bellows Field Beach Park)
カイルア・ビーチパーク (Kailua Beach Park)
カラマ・ビーチパーク (Kalama Beach Park)
ラニカイ・ビーチ(Lanikai Beach)
マカプウ展望台からカイルアビーチより奥の住宅街のあたりまでが禁止エリアになります。
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【ノースショアエリア】サンセットポイントからカイアカポイントまで
Ordinance 21-34(Bill 34, 2021年12月16日施行)**により、ノースショアの以下のビーチパークおよびその間のすべての市郡管轄海岸権利地で商業活動(ツアー立ち寄り、撮影、営業等)が禁止されました。
禁止対象のビーチパーク
ワイアレエ・ビーチパーク (Waiale‘e Beach Park)
サンセット・ビーチパーク (Sunset Beach Park)
エフカイ・ビーチパーク (‘Ehukai Beach Park)
ワイメア・ベイ・ビーチパーク (Waimea Bay Beach Park)
ハレイワ・アリイ・ビーチパーク (Hale‘iwa Ali‘i Beach Park)
カイアカ・ベイ・ビーチパーク (Kaiaka Bay Beach Park)
ハレイワ・ビーチパークの一部(プアエナ・ポイントに隣接する未整備エリア)
「サンセットポイントからカイアカポイントまで」の区間で市郡が管轄する海岸沿いの権利地はすべて対象です。これはノースショアの主要な撮影スポットをほぼ網羅しています。
ウミガメを見るために渋滞するラニアケアビーチや大谷翔平も訪れたと言われるポハクラナイ(バランスロック)もこの禁止エリアに含まれます。
ラニカイビーチは「ビーチパーク」ではないが規制される理由
ラニカイビーチは観光客に大人気ですが、法的な位置づけを正確に理解している人は在住者でも少ないようです。
ラニカイビーチの土地的性質
ラニカイビーチは、主にアッパークラスの住宅地に隣接しており、一般公開されている浜辺へのアクセスは住宅間の公道を通じて行われます。ビーチ自体は公有地ですが、州有地でも市郡のビーチパークでもありません。
つまりラニカイは「誰でも入れる公共のビーチ」ではありますが、ホノルル市郡が管理するビーチパークには該当しないのです。
なぜ商業活動が禁止されているのか?
ラニカイビーチには市郡管轄の海岸権利地(Beach Rights-of-Way and Easements)が通じており、ROH §10-1.2(h)(Bill 11, 2012年)には「Commercial activities … are not allowed at any time at city-owned or -operated beach rights-of-way and easements from Lanikai to Kapoho Point (Castle Point). 」と明記されています。
つまり、ビーチパークではなくても、その地域内の市郡管轄アクセス路(公道・海岸への通路)を使って商業活動を行うことが禁止されているのです。
「商業撮影」の2種類の許可 フィルムパーミットとコマーシャルフォトパーミット
多くの人が混同しているのが、ホノルル市郡内で「商業撮影の許可」と一口に言っても、目的と規模によって窓口も許可の種類もまったく異なるという点です。
映画・TV・CM・映像制作向けのフィルムパーミット
これは映画、テレビドラマ、CM(コマーシャル)、ドキュメンタリー、ウェブ動画制作など、映像制作を主目的とする大掛かりなプロダクションのための許可です。
ウェディングやファミリーフォト向けのコマーシャルフォトパーミット
ウェディング撮影・家族写真・カジュアルフォト・ベビールアウ等、クライアントの個人的な利用を目的とした写真撮影を行うカメラマンは、Honolulu Film Officeではなく、ホノルル市郡Parks Permits Officeへ申請する必要があります。
このパーミットはFilm Permitとは別物で、ウェディングや記念写真などの「静止画・小規模な映像撮影」を主な用途とします。
ハワイ州Land Divisionが管轄する未特定の州有地向けのウィキパーミット
DLNR Wiki Permitは、ハワイ州の「土地管理課(Land Division)」が管轄する「Unencumbered State Lands(未特定の州有地)」でのみ有効で、具体的には、「満潮線より海側の砂浜(Shoreline)」のことです。
スポット別・個人撮影 OK / NG 一覧
東海岸エリア
| スポット | 個人での撮影 | ドローン(個人) | 商業撮影 |
|---|---|---|---|
| カイルアビーチパーク | OK | 禁止 | 禁止 |
| ラニカイビーチ | OK | 禁止 | 禁止 |
| ワイマナロビーチパーク | OK | 禁止 | 禁止 |
| マカプウビーチパーク | OK | 禁止 | 禁止 |
ノースショアエリア
| スポット | 個人での撮影 | ドローン(個人) | 商業撮影 |
|---|---|---|---|
| ワイアレエビーチパーク | OK | 禁止 | 禁止 |
| サンセットビーチパーク | OK | 禁止 | 禁止 |
| エフカイビーチパーク | OK | 禁止 | 禁止 |
| ワイメアベイビーチパーク | OK | 禁止 | 禁止 |
| ラニアケアビーチ | OK(フラッシュ禁止) | 禁止 | 禁止 |
| カイアカベイビーチパーク | OK | 禁止 | 禁止 |
ラニアケアビーチ(ウミガメ ビーチ)での撮影ルール
ウミガメへの最低接近距離は10〜15フィート(約3〜4.5m)で、違反した場合は最高10,500ドルの罰金が科せられます。フラッシュ撮影や強い照明はウミガメを驚かせ行動を変容させるため、ラニアケアビーチなどではボランティアが強い懐中電灯やカメラフラッシュを消すよう注意を促しています。
撮影の実践アドバイス
- ズームレンズ(または望遠モード)で遠くから撮影する
- フラッシュは昼夜問わずオフに設定する
- ウミガメの移動経路や海への帰り道を遮断しない
- 接触、餌付け、周囲を囲むなどは禁止
- 見やすい時間帯は午前11時〜午後1時ごろ。
ドローン撮影はオアフ島の個人利用は事実上不可
| エリア | 禁止根拠 |
|---|---|
| ダイヤモンドヘッド含む全ての州立公園 | DLNR州立公園規則 |
| ラニアケア周辺 | 連邦法MMPA |
| ホノルル国際空港5マイル以内 | FAA管制空域 |
| Pearl Harbor・軍事施設周辺 | 軍事制限区域 |
| 市郡立ビーチパーク(ドローン離着陸) | 市郡公園規則 |
個人利用の場合でもFAAに事前登録が必要です。さらに州立公園やしが管轄するビーチパークでも使用禁止となっています。またオアフ島の主要な観光エリアの多くがドローン飛行に事前許可が必要な空域となり、ほとんど飛ばせる場所がありません。
罰則は趣味目的で最高$27,500、商業目的で最高$250,000です。飛行前の空域確認にはFAA公式アプリ「B4UFLY」をご利用ください。
参考・引用リンク
ROH §10-1.2
DLNR Land Division - Commercial Activities
ハワイ州Film Office
Honolulu Film Office
連邦航空局ドローンポータル
免責事項
情報の正確性について
本記事は、2026年4月現在のハワイ州・ホノルル市の公的な条例に基づき作成しています。規制は予告なく変更される可能性があるため、常に最新の状態を保証するものではありません。
自己責任のお願い
本記事の情報を利用したことで生じたトラブルや損害(罰金・撮影中止など)について、筆者および当サイトは一切の責任を負いかねます。
最終確認のお願い
撮影の可否や許可申請の要否については、必ずご自身で公的機関(ホノルル市等)へ最新状況をご確認ください。