「プラットフォームが全部やってくれている」は危険な思い込みかもしれない
ハワイのコンドやバケーションレンタルを持つオーナーから、こういう話をよく聞きます。「Airbnbに任せているから税金は大丈夫」「管理会社がやってくれている」——でも確認してみると、GETが何年も未申告だった、というケースが実際にあります。
ハワイの宿泊税は、「去年と同じだろう」と思って確認を怠ると、プラットフォーム側の設定が変わっていなかった、GETの申告タイミングがずれていた、ということが実際に起きます。現地にいる私でも、全体像を正確に把握するには毎年確認が必要です。それくらい複雑な税制です。
コンドオーナーとバケレンオーナーでは、申告の落とし穴の場所が少し違います。2026年1月のTAT税率変更を機に、自分のケースに当てはまる部分を確認するのはどうでしょうか。
クルーズ船97万人分の「抜け穴」が、ついに塞がれた
TAT税率が10.25%から11%に上がる(2026年1月1日〜)
バケーションレンタルへのTAT税率が、現行の10.25%から11%に引き上げられます。リゾートタイムシェアも同様に11%へ変更されます。
オアフ島では州TAT11%に加えて、オアフ郡独自の滞在税(OTAT)3%が別途かかります。さらにGET4.5%(ゲストへの請求は税の上に税がかかる構造を相殺するため4.712%)を加えると、税負担の合計は約18.5%に達します。
バケーションレンタルを自分で価格設定しているオーナーへ:TATが0.75%上がることで、たとえば1泊$300の物件では年間を通じてゲストの税負担が変わります。価格を据え置くか、税率分を宿泊単価に転嫁するかを、2025年内に判断しておく必要があります。
クルーズ船の船室にも11%のTATがかかる(2026年7月1日〜)
これまでTATはホテル・コンド・バケーションレンタルが対象でしたが、クルーズ船の船室(Cruise Ship Cabin)にも11%のTATが課税されるようになります。
法律の原文には、2024年のハワイへのクルーズ寄港旅客数が約97万人と明記されています。この97万人分がTATの対象外だったことが「不公平な抜け穴」として認識され、今回塞がれた形です。
クルーズ運賃のうち、義務的に含まれるサービス料・食事・船内エンターテインメントは課税対象。任意のオプション料金は除外されます。
2025年12月31日の連邦控訴裁判所の判断により、
Act 96 の「クルーズ船へのTAT課税」部分は一時的に差し止められています。
TAT 11% への増税(ホテル・コンド・バケレン)は予定通り2026年1月1日から施行されています。
クルーズ船への課税開始日は、今後の裁判の進展により変更される可能性があります。
増収分の使途:気候変動対策と観光地管理
増収分は知事の予算要求を通じて、自然資源の保護・防災インフラ整備・公園やビーチの維持管理の3つに均等配分されます。税収が観光インフラに還元される仕組みになっています。
オーナーの種別で異なる、申告の落とし穴
申告ミスはプラットフォーム任せだから起きるだけでなく、オーナーの運用形態によって落とし穴の場所が違います。自分のケースを確認してください。
コンドオーナーの落とし穴
- 管理会社(PMC)はGETの申告代行をしていないケースが多い。 管理会社との契約書で「税申告代行」の範囲を確認してください
- HOAがバケレンを制限・禁止している場合、運用自体の適法性も要確認。 申告以前に、運用の許可状況を整理する必要があります
- 日本居住の非居住オーナーはTAX対応の難易度が上がる。 現地のCPAに申告状況を一度確認してもらうことを強く推奨します
- オアフ島のコンドをバケレンとして運用している場合、州TAT11%+郡TAT3%+GET4.5%で合計約18.5%になる。 管理会社の請求設定が正しいかを2026年1月前に確認してください
バケレンオーナーの落とし穴
- AirbnbはTATを代行しているが、GETは自己申告が必要なケースがある。 代行範囲をプラットフォームの「税金と法律」画面で必ず確認してください
- VRBOはAirbnbと代行範囲が異なる場合がある。 両方に掲載している場合、どちらでどの税が処理されているかをリストアップしてください
- AirbnbとVRBOに同時掲載している場合、二重申告・申告漏れのリスクが上がる。 各プラットフォームの代行範囲が重複していないかを確認する必要があります
- 申告漏れが発覚すると、TVU許可の更新リスクに波及する可能性がある。 税の申告体制を整えることは、運用継続の前提条件です
申告漏れが一番起きやすいのは、税制が変わるタイミング
税率変更のタイミングは、申告ミスが起きやすい時期です。「去年と同じで大丈夫」が通用しなくなるのがこのタイミングだからです。
- AirbnbやVRBOがプラットフォーム側で税率を自動更新するとは限りません
- GETは引き続き自分での申告が必要なケースがあります
- 日本から遠隔で運営していても、ハワイDOTAXへの申告義務は発生します
「知らなかった」では済まないペナルティが、日本にいても届きます。
今すぐ確認してほしいこと
コンドオーナーが確認すること
1. 管理会社との契約書で「税申告代行」の範囲を確認する
GETの申告代行が含まれているかどうかを明示的に確認してください。含まれていない場合は自己申告が必要です。
2. GETが自分名義で申告されているか確認する
管理会社が代行していると思っていても、実際には申告されていないケースがあります。
3. オアフ島の物件は州TAT11%+OTAT3%+GET4.5%で合計約18.5%になることを管理会社に共有する
2026年1月以降の税率変更が管理会社の設定に反映されているかを確認してください。
4. CPAに申告状況を一度レビューしてもらう
「今の申告内容が新税率に対応しているか」を確認するだけでいいです。税制変更のタイミングに一度見てもらうと安心です。
バケレンオーナーが確認すること
1. AirbnbとVRBOそれぞれの「税金と法律」画面で代行範囲をリストアップする
どの税がプラットフォーム経由で処理されているかを、プラットフォームごとに確認する。
2. GETの申告が漏れていないか確認する
TATはプラットフォームが代行していても、GETは自分で申告が必要なケースがあります。
3. 2026年1月以降の税率に自動更新されるか各プラットフォームで確認する
AirbnbやVRBOが税率を自動更新するとは限りません。更新されない場合は手動で修正が必要です。
4. 宿泊単価の税率転嫁をするかどうか判断する
0.75%の税率上昇をゲストに転嫁するか、自分で吸収するかを早めに決めて価格設定に反映する。
5. TVU許可の更新状況と申告状況をセットで確認する
申告漏れが発覚すると許可更新リスクに波及する可能性があります。許可の有効期限と申告状況を同時に確認する。
ポイント
- Act 96によりTATが10.25%→11%に引き上げ(2026年1月1日施行)
- クルーズ船の船室にも11%のTATが新たに課税(2026年7月1日施行)
- オアフ島は州TAT11%+OTAT3%+GET4.5%で合計約18.5%の税負担
- プラットフォームの税率自動更新と、GETの自己申告漏れを2025年内に確認
- 税収の増加分は気候変動対策・自然資源保護・観光地整備に充当
免責事項
本記事は、ハワイ州の税制および2026年施行のAct 96に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の税務・法律上の助言を構成するものではありません。
物件の所在地、運用形態(コンド・バケーションレンタル・TVU許可の有無)、プラットフォーム(Airbnb・VRBO等)の設定状況、オーナーの居住国によって、適用される税率・申告義務・必要書類は大きく異なります。
本記事の内容に基づいて行われた行為の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。具体的な税務申告・許可更新・法的判断については、CPAまたは弁護士にご相談ください。
税制・法令・プラットフォームの仕様は予告なく変更される場合があります。最新情報はハワイ州税務局およびホノルル市郡の公式情報をご確認ください。

