法律:Act 096(Senate Bill 1396)/ 知事署名:2025年5月27日 / 施行日:2026年1月1日
対象:ハワイ旅行者・在住者・宿泊施設・クルーズ利用者
「ハワイの宿泊税が18%を超えた」という衝撃的なニュースがネット上で独り歩きし、「もはやハワイは手の届かない場所になった」というネガティブな印象を持っていませんか?しかし、その煽り文句とも言える数字の裏側にある「真実」を紐解けば、景色は全く違って見えるはずです。
実を言えば、2026年1月の法改正で新しく増えた負担は、宿泊費のわずか0.75%。1泊$200のホテルなら追加分はたったの$1.50程度です。残りの17%以上は、今回の改正前からずっと支払ってきた「いつもの税金」であり、昨日今日で突然ハワイが18%も高くなったわけではありません。
では、なぜこれほどまでに「ハワイが高い」というイメージが強まっているのでしょうか。今回は、以下のポイントについて整理したいと思います。
- 18%の正体: なぜ「0.75%」が「18%」と報じられるのか
- 高騰の原因: 増税より深刻な「ホテル高騰」と「円安」の衝撃
- Green Feeの意義: そのお金が守る「ハワイの未来」と「体験」
- 2026年の現状: クルーズ課税の差し止めなど、最新渡航コスト
過剰なネガティブ情報に振り回されず、正しく情報をアップデートすることで、納得感のあるハワイ旅行を計画するための視点をお届けします。
「宿泊税18%」の誤解を解く。今回増えるのは、実はわずか0.75%だけ
「ハワイの宿泊税が上がった」そんなニュースを見て、またハワイが高くなったと感じた人も多いと思います。中には「宿泊税が18%を超えた」という数字を見て驚いている方もいるかもしれません。
しかし、数字の内訳を冷静に整理してみると、少し景色が変わって見えます。
今回の「Green Fee」による純粋な値上げ幅は、わずか0.75%です。
「18%」というインパクトのある数字が独り歩きしていますが、そのうちの約17.5%分は、実はこれまでのハワイ旅行でもずっと支払ってきた税金(TATやGETなど)と同じです。おそらく18%という数字で話題作りといったところでしょうか?他にもハワイの高い物価ネタはよく話題になります。
つまり、今回の改正で税率が劇的に跳ね上がったわけではなく、その大部分は以前から私たちが慣れ親しんできた「いつものハワイの税金」と変わりありません。
今回の追加負担を具体的にイメージすると、以下のようになります。
1泊$200のホテルなら: 0.75%増=プラス$1.50
1泊$400のホテルなら: 0.75%増=プラス$3.00
Green Feeによる増加額は、1泊$200のホテルなら約$1.50。$300なら$2.25、$400でも$3.00程度です。
7泊しても、追加負担は合計で$10〜$21くらいで日本の方のケースだと4泊6日が主流なので、$6〜$12になります。
もちろん値上げに違いありませんが、「ハワイ旅行そのものが無理になるレベルか?」と言われると、実はそこまでではありません。
つまり、今回の改正で増えるのは「0.75%」だけ。残りの約17.5〜18%分は、これまでのハワイ旅行でもずっと支払ってきた税金(TATやGETなど)と同じです。 「宿泊税18%」という言葉だけが独り歩きしていますが、昨日今日でいきなり18%も高くなったわけではありません。
じゃあ、なぜこんなに「ハワイ高い」と感じるのか。
本当の理由は、別のところにあります。
ハワイが本当に高くなった理由:実はGreen Feeだけじゃない
Green Feeの話をする前に、まず「なぜ今のハワイが高いのか」を整理しておく必要があります。
宿泊費が2019年比で約35%上昇した
実は今のハワイ、ホテル代そのものがかなり上がっています。
2024年、ハワイは全米で最も高い平均客室単価(ADR)を記録しました。州全体のADRは$365で、ニューヨーク市やボストンを上回る全米トップ水準です。
しかも2019年には約$280だった平均客室単価が、2023年前半には$379まで上昇。
つまり、コロナ前と比べて約35%も上がっています。
島ごとの差もかなり大きくて、
- マウイ:$547
- ビッグアイランド:$428
- カウアイ:$415
- オアフ:$285
という状況。
特にマウイは、もはや「ちょっと高いリゾート」ではなく、世界トップクラスの高価格帯リゾート地に入っています。
正直、「ハワイ高い」と感じる最大の原因はここです。
Green Feeの0.75%増は、この宿泊費高騰のインパクトの前ではかなり小さい数字なんですよね。
航空券の高止まりとエアリフト減少
航空券も、まだ完全には下がり切っていません。
2025年時点では、ハワイ路線のエアリフト(便数や座席供給)が前年より減少していて、今後さらに縮小する可能性も指摘されていました。
背景には、
- 燃料費の高騰
- コロナ後の需要回復
- Hawaiian AirlinesとAlaska Airlines統合による路線再編
などがあります。
特に地方都市からの直行便が減ると、競争が減って価格が下がりにくくなるんですよね。
レンタカーと交通費もじわじわ高い
レンタカー不足は以前より改善したとはいえ、今度は保険料や人件費の上昇が価格に乗ってきています。
オアフだと、
- レンタカー代
- 駐車場代
- ガソリン代
を合わせると、1日$100超えは珍しくありません。
「ホテルだけじゃなく移動も高い」というのが、今のハワイです。
人件費・保険料の上昇
ハワイはもともと全米でも生活コストが高い州ですが、最近は人口流出も続いています。
生活費が高すぎて、働き手が島外へ移ってしまう。
すると残った労働力のコストがさらに上がる——そんな循環になっています。
ホテル、レストラン、観光業全体で、その影響がじわじわ価格に反映されています。
日本人旅行者には「円安」がかなり重い
そして日本人にとって特に大きいのが、やっぱり円安。
2019年頃は1ドル110円前後でしたが、2024〜2025年は150円前後。
つまり、ドル価格が変わっていなくても、日本人にとっては実質36%前後の値上がりです。
これ、ホテル代だけじゃなく、
- 食事
- アクティビティ
- チップ
- お土産
全部に効いてきます。
ではGreen Feeとは何なのか
ここまでを踏まえると、「ハワイ高騰」の主因がGreen Feeではないことは見えてきます。
では、そのGreen Fee自体はどんな制度なのか。
ここも誤解されやすいので、整理しておきます。
法律の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法律名 | Act 096(Senate Bill 1396) |
| 知事署名 | 2025年5月27日 |
| 施行日 | 2026年1月1日 |
| 税率変更 | TATに0.75%を上乗せ。州分は10.25%→11%へ |
| 課税対象の拡大 | ホテル・バケーションレンタル・タイムシェアに加えクルーズ運賃も対象 |
| 税収の使途 | 自然保護・インフラ強化・観光地管理へ配分 |
実際どのくらい増えるの?
| 宿泊料金(1泊) | Green Fee増加分 | TAT州分合計(11%) | 郡TAT,GET分 | GET込み総負担率 |
|---|---|---|---|---|
| $200 | +$1.50 | $22.00 | $17.00 | 約18〜19% |
| $300 | +$2.25 | $33.00 | $22.50 | 約18〜19% |
| $400 | +$3.00 | $44.00 | $30.00 | 約18〜19% |
ハワイはもともとホテル税がかなり高い州で、合算すると18〜19%前後になります。
ネット上で「宿泊税が18%を超えた!」と話題になっていますが、その内訳のほとんどは以前から存在していたものです。今回の「Green Fee」による純粋な値上げ幅は、全体のわずか0.75%に過ぎません。 これまでハワイに来ていた方も、実はすでに「18%近い税金」を払いながら滞在を楽しんでいた、というのが実情です。
なので、「税金高いな…」という感覚自体は間違っていません。
ただ、その大部分はGreen Fee以前から存在していたもの。
今回増える部分だけを見ると、実際にはかなり限定的です。
$1.50で守られるもの
「どうせ税金でしょ」と思いたくなる気持ち、わかります。
でも今回のGreen Feeは、使い道がかなり明確に決められている目的税です。
自然資源保護
- ワイキキビーチの砂補充
- ハナウマ湾の保全
- 珊瑚礁回復
- 森林保護
- 外来種対策
などに使われます。
ワイキキの砂浜って、実は放っておくと侵食でどんどん減っていくので、定期的に砂を補充して維持されています。
インフラのレジリエンス強化
2023年のマウイ山火事以降、
- 森林再生
- 防火帯整備
- 水源保全
- 洪水対策
なども重要課題になっています。
「観光地を守る」というより、島そのものを守るための予算でもあります。
観光地管理
- ダイヤモンドヘッド
- ハナウマ湾
- 公園整備
- トイレや駐車場管理
- 混雑コントロール
なども対象です。
つまり、「観光客が増えた分の維持費」を、少しずつみんなで分担するイメージです。
なぜ“全米初”なのか
このAct 096は、米国初の「気候変動対策費」としても注目されています。
観光客にも環境維持コストを少し負担してもらう——という考え方を、州法として正式に導入したのがポイントです。
Green Feeは“体験の維持費”でもある
旅行者目線で見ると、Green Feeには別の見方もあります。
ハワイの魅力って、
- きれいな海
- 珊瑚礁
- ビーチ
- トレイル
- 自然景観
になると思います。
でも、それって放置していて維持できるものではありません。
ハナウマ湾の入場制限も、ダイヤモンドヘッドの予約制も、「観光地を壊さないため」の管理コストが背景にあります。
だから今回のGreen Feeは、
「観光客から取る税金」
というより、
「ハワイを一緒に守る参加費」
みたいな意味合いのほうが近いかもしれません。
ハワイには「マラマ(思いやり・大切にする)」という考え方がありますが、今回の制度はまさにその延長線上にある感じです。
ハワイ観光が今抱えている本当の課題
実は今のハワイ観光、単純に「値上げで儲かっている」という状況でもありません。
来訪者数は減少傾向
2025年7月の来訪者数は約87万人で、前年同月比では減少。
コロナ前の2019年と比べても、まだ完全回復には届いていません。
「人数は減るけど単価は上がる」
最近のハワイは、
- 来る人数は減る
- でも来る人は高額消費
という流れに変わりつつあります。
これはHTAが目指してきた「量より質」の観光戦略とも一致しています。
ただ一方で、中間層の旅行者が行きにくくなっているという懸念もあります。
競合も増えている
最近は、
アメリカ人旅行者
メキシコ(カボ・サンルーカス、カンクン)・コスタリカ・バハマといった中南米・カリブ海のリゾートがハワイより有利な選択肢として、特にミドルクラス層に人気です。
日本人旅行者
JTB・HISの旅行先人気ランキング(2024〜2025年)では、ハワイは依然として海外旅行先の上位を維持していますが、同じ予算で行ける近距離アジアリゾート(バリ島・セブ島・ダナン・台湾)への分散が進んでいます。
など、より安価な旅行先との競争も激しくなっています。
富裕層・ハワイリピーターは引き続き訪れるが、特に20〜30代では「ハワイは憧れだが現実的でない」という意識が強まっており、特に初めての海外・ファミリー層がコストを理由に他を選ぶ構図になっています。
クルーズ旅行者への影響(2026年5月時点)
ホテル・バケーションレンタル
こちらへの11%TATは、2026年1月1日から正式施行済みです。
クルーズ運賃への課税
ここは少しややこしい部分です。
【最終確認:2026年5月3日】
現在、ハワイ州が導入しようとしているクルーズ船向けGreen Feeについては、まだ法廷闘争が続いています。
しかも現時点では、徴収そのものが一時停止中です。
2025年12月31日、米連邦第9巡回控訴裁判所は、クルーズ業界団体(CLIA)側の訴えを認め、この税の執行を一時停止する差止命令を出しました。
州側は「環境保護のための正当な課税」と主張していますが、原告側と米司法省は、
「州が港への入港に独自課税するのは、米国憲法の通商条項やトン数条項に抵触する可能性がある」
と反発しています。
つまり、2026年5月時点では、クルーズ乗客にこの11%税が実際に請求されているわけではありません。
ただし、今後の判決次第で状況が変わる可能性はあります。
「1人約$350増」の計算根拠
「クルーズだと1人$350くらい追加負担」という数字、ちょっと突然に感じがしないでしょうか?
実はこれ、クルーズ代金全額に単純に11%をかけているわけではありません。
制度上は、
ハワイに滞在している日数割合に応じて課税
という考え方になっています。
計算イメージはこんな感じになります。
追加負担額 =
(クルーズ運賃) × (ハワイ寄港日数 ÷ 全航海日数) × 税率
たとえば、
- クルーズ代金:約$4,000
- ハワイ滞在割合:100%
- 税率:11%
の場合、
$4,000 × 11% = $440
になります。
ただ実際には、
- 早割
- 客室グレード
- 寄港割合
など条件差があるため、業界平均として「約$350前後」という数字がよく引用されています。
なお現在は差止命令中なので、この税金が実際に請求される状況にはなっていません。
予約前に確認しておきたいこと
ホテル予約
2026年以降は、
- Hawaii Transient Accommodations Tax
- Hawaii Green Fee
などの名称で税金内訳が表示されるケースがあります。
予約時は「税込総額」を確認しておくのがおすすめです。
Airbnb・バケーションレンタル利用時
正規ライセンスを持つホストか確認しておくのが安心です。
Airbnbなら、
「TA-XXXXXXXX」
のようなTATライセンス番号表示があるかチェックしておくと安心です。
クルーズ予約
クルーズ税制は訴訟中なので、予約時点の税金表示や規約確認がかなり重要です。
ハワイ在住者への影響
今回のGreen Feeは旅行者向け宿泊税なので、州民の所得税や固定資産税が直接上がるわけではありません。
ただ、
- 公共施設改善
- ビーチ整備
- 観光地維持
- 無認可バケレン対策
など、間接的な影響はあります。
Green Feeは「負担」というよりハワイを未来へ繋ぐ「参加費」
ハワイが高くなった——それは事実です。
でも、その主な原因は、
- ホテル代高騰
- 航空券高止まり
- 円安
- レンタカー費用
などの複合要因。
2026年から始まるこの新しい制度のGreen Fee単体の増加額は、実際には1泊$1.50前後です。これまでハワイに支払っていた税率と比べても、1泊わずか1.5ドル(0.75%)の追加。
そしてそのお金は、
- 珊瑚礁保護
- ビーチ維持
- 森林再生
- 観光地管理
などに使われます。
これは単なる値上げというより、「ハワイを未来に残すための参加費」。
そう捉えてみると、ハワイを訪れる意味が、また少し深くなるかもしれません。
参考リンク(一次情報)
免責事項
本記事は公開情報・HTA統計・Act 096等をもとに、2026年5月時点の情報を整理したものです。クルーズ課税については訴訟継続中のため、最新状況は州政府・専門家等でご確認ください。