ハワイ生活

LLCに入れたまま何年も税務を確認していない、それが一番のリスクかもしれない

LLCを持つ日本在住オーナー向けに、2026年申告のハワイ税務変更点と注意点を解説

「LLC名義にしてあるから大丈夫」 本当に確認していますか?

ハワイに不動産を持つ日本在住オーナーの中で、一番多い“見落とし”があります。設立当初に弁護士や会計士にLLCを作ってもらい、毎年同じ書類にサインして終わり。「LLCに入れてあるから安心」という感覚で、税務の中身を何年も精査していない。

でも法律は毎年変わります。今年のAct 58は、EPTEを使っているオーナーの申告手順を変えています。「去年と同じ」で申告を出すと、ミスになる可能性があります。

現地に20年いても、ハワイ(フェデラルとステート)の税務は毎年CPAと確認しないと追いつけません。それくらい変化が多い領域です。

以下に1つでも当てはまる方は、この記事を最後まで読んでほしいです。

  • ハワイにLLCを持っている
  • LLCでEPTEを選択したことがある、またはCPAに勧められたことがある
  • 日本在住でハワイの不動産をLLC名義で保有している
  • 2024年中にハワイ関連の取引・相続・贈与があった
  • LLCの税務をCPAに丸投げしていて、中身を自分では把握していない

申告手順が変わった 見落としやすいAct 58の中身

LLCのクレジット計算ルールが変わった Act 58

EPTEを使っているかどうか分からない方へ: 毎年CPAから「ハワイ州税を法人でまとめて払います」という説明を受けたことがあれば、おそらく該当します。覚えがない場合はCPAに確認してください。

ハワイには「エレクティング・パススルーエンティティ(EPTE)」という仕組みがあります。LLC・パートナーシップ・S法人などの構成員全員が同意することで、法人レベルでハワイ州税を一括納付できる制度で、連邦のSALT控除上限($10,000)を迂回するために使われます。

2025年に署名されたAct 58は、このEPTEにおけるクレジットの計算ルールを修正しました。

具体的には:構成員がEPTEクレジット(法人が払った税の自分の持分相当額)を個人の税額から控除する場合、その控除した金額をハワイの課税所得に「加算し直す」ことが明示されました。クレジットの二重取りを防ぐ規定です。

控除しきれなかったクレジットは翌年以降に繰り越せる点も明記されています。

この修正は2025年1月1日以降の課税年度から適用されます。(申告は2026年)EPTEを使っているオーナーは、2024年以前と申告のロジックが変わります。

毎年恒例のメンテナンス Act 123

Act 123は毎年行われる「テクニカルコンフォーミティ」です。ハワイ州の所得税法・遺産税法・世代間移転税法が参照する連邦内国歳入法(IRC)の基準年を、2023年→2024年に更新しました。

大きな制度変更ではなく、「2024年中に連邦税法で変わった部分をハワイ税にも反映させる」毎年恒例の作業です。ただし2024年中に取引・相続・贈与があった方は、その年の連邦税法の変更内容がハワイ税に影響するため確認が必要です。

非居住者にもEITCが使えるようになった Act 25

ハワイのEITC(勤労所得税額控除)は、これまで「居住者」のみが対象でしたが、Act 25により「非居住者」や「一部年居住者」にも適用が拡張されました。

受け取れるクレジット額は「ハワイでの収入÷連邦での収入の比率」を掛けた金額になります。

また、繰越クレジットの使用期限が2段階で整理されました。

繰越クレジットの期限を今すぐ確認してください

  • 2018〜2021年の課税年度に発生した繰越分:2024年12月31日以降は使用不可
  • 2022年以降の課税年度に発生した繰越分:2025年12月31日以降は使用不可

繰越クレジットが残っている可能性があるオーナーは、期限前にCPAへ確認してください。使わないまま期限を過ぎると、そのクレジットは消滅します。

EITCは低〜中所得者向けの制度のため全員に関係するわけではありませんが、ハワイで勤労所得がある非居住者は確認する価値があります。

LLCを持つオーナーが今確認すべきこと

LLC絡みの税務は「気づいたときには手遅れ」になりやすい領域です。特に多いのは、売却のタイミングで初めて申告の抜け漏れが発覚するケースです。買い手が見つかっていても、税務が整理されていないと決済が止まります。「LLCに入れてあるから安心」と思っていたオーナーが、クロージング直前に慌てる場面を何度か見てきました。相続や売却が発生する前に、一度現状を確認しておいてください。

売却前に確認すること

EPTEを使っているオーナー(Act 58の影響を直接受ける)

1. Act 58の変更内容をCPAと確認する
2025年1月1日以降の課税年度から申告手順が変わります。「去年と同じ」で申告を出すとミスになる可能性があります。

2. クレジットの繰越が発生している場合、翌年への引き継ぎ処理を確認する
控除しきれなかったクレジットは翌年以降に繰り越せますが、正しく処理されているかをCPAに確認してください。

3. ハワイ課税所得への「加算」が申告書に反映されているか確認する
Act 58の核心はここです。クレジットを控除した金額をハワイの課税所得に加算し直す処理が、申告書に正しく入っているかをCPAと一緒に確認してください。

日本在住・非居住オーナー(全員対象)

1. 日本の税理士とハワイのCPAが情報共有できているか確認する
どちらか一方だけに任せると、日米間の税務で抜け漏れが出やすいです。両方が連携している状態が理想です。

2. LLCの年次申告(Annual Report)が毎年提出されているか確認する
年次申告を怠ると法人格が消滅(Administrative Dissolution)するリスクがあります。意外と見落としているケースがあります。

3. 2024年中に取引・相続・贈与があった場合、Act 123の影響をCPAに確認する
連邦税法の変更内容がハワイ税に反映されます。動きがなかった場合は通常通りで問題ありません。

4. ハワイで勤労所得がある場合、EITCの対象かどうかを確認する
Act 25により非居住者にも適用が拡張されました。該当するケースは限られますが、対象であれば税負担を抑えられます。

変更点と確認点のポイント

  • Act 58:EPTEでクレジットを使う構成員は、ハワイ課税所得への加算が必要になった(2025年1月1日以降の課税年度から)
  • Act 123:ハワイ税法が参照する連邦IRCの基準年が2023年→2024年に更新(毎年恒例の技術的改正)
  • Act 25:EITCが非居住者・一部年居住者にも適用拡張。繰越クレジットの期限は2段階(2018〜2021年分は2024年末、2022年以降分は2025年末)
  • EPTEを使うLLCオーナーはCPAに申告手順の変更を確認することを強く推奨

LLC名義でバケーションレンタルを運用している場合、TATとGETの申告義務はLLCではなくオーナー個人に帰属するケースがあります。TAT税率は2026年1月に変更されるため、申告体制の確認を今のうちにしておいてください。

見落としがちな税率変更

免責事項

本記事は、ハワイ州の税務・法律に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の状況に対する税務・法的アドバイスではありません。 法改正や運用ルールは予告なく変更される場合があります。読者の皆さまの居住地、所得状況、LLC構成、申告方法などにより適用される税務処理は異なります。

本記事の内容をもとに行った判断・行動について、当サイトは一切の責任を負いません。 最新情報および個別の状況については、必ずハワイ州認定のCPA(会計士)または弁護士へご相談ください。

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