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【2025年度の申告に適用】あなたの給与・還付・事業税に直接影響するハワイ州所得税3つの重要改正

2025年施行のハワイ州所得税3つの重要改正(Act 24・25・58)を解説

「ハワイ州の税制が変わった」と聞いても、何がどう変わったのか、自分に関係あるのかがわからない——そう感じている方は多いはずです。

2025年、ハワイ州議会は所得税に関する3つの法律を成立させました。給与から天引きされる源泉徴収の上限撤廃、低中所得者向け税額控除の現金還付化、パス・スルー事業体の二重控除禁止。どれも「知らなかった」では済まない内容です。

この記事では、Act 24・Act 25・Act 58の3法律を、法案の原文に基づきわかりやすく解説します。

まず全体像を3行で把握する

  • Act 24 → 給与所得者の源泉徴収、8%上限を撤廃
  • Act 25 → 勤労所得税額控除(EITC)を「現金で戻る」制度に確定
  • Act 58 → パス・スルー事業体の節税スキームに「二重取り禁止」ルール追加

3つとも、2024年12月31日以降が始まる課税年度から適用。つまり2025年度分(2026年春申告)の確定申告から本格的な影響が出ています。

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Act 24|源泉徴収の8%上限、なぜ撤廃されたのか

何が変わったか

ハワイ州法 §235-61(c) が改正され、給与から天引きする源泉徴収税率の上限「最大8%」という制限が削除されました。

改正前:源泉徴収率の上限 = 8%
改正後:上限なし(実際の税率に合わせた徴収が可能に)

なぜ問題だったのか

ハワイ州の最高所得税率は11%です。ところが源泉徴収は最大8%までしか引けなかったため、高所得者は毎年、確定申告のタイミングで「不足分」をまとめて支払う必要がありました。

これが「予想外の大きな税額」「ペナルティの発生」につながるケースがあり、長年問題視されていました。

あなたへの影響

年収が高い方は、今後の給与明細で天引き額が増える可能性があります。逆に言えば、確定申告時の「まとめ払い」や「ペナルティリスク」が減ります。

雇用主側も、従業員の実態に合った正確な税率で徴収できるようになります。

法案原文(該当箇所)

"…the amount of tax to be withheld…shall be at a rate that, for the taxable year, will yield the tax imposed by section 235-51 upon each employee's annual wage…"
([, but for the purposes of this subsection…the maximum to be taken into consideration shall be eight per cent] の文言が削除)
(S.B. No. 1470、2025年4月23日承認)

Act 25|EITCが「繰越」から「現金還付」へ 非居住者にも適用拡大

EITCとは何か(知らない方向けに)

EITC(Earned Income Tax Credit=勤労所得税額控除)は、働く低中所得者を支援するための税額控除制度です。連邦税に加え、ハワイ州独自のEITCがあり、連邦EITCの40%相当が州レベルで控除されます。(AGI制限あり)

たとえば連邦EITCで$2,000の控除を受けた場合、ハワイ州EITCは$800になります。

何が変わったか(3点)

①「還付可能(Refundable)」であることを明文化
税額控除額が納税額を上回る場合、その差額が現金で還付されます。これまでは「繰越」扱いだった部分が、「直接戻ってくる」制度として確定しました。

②非居住者にも適用
改正前:居住者・部分年居住者が対象
改正後:非居住者も、ハワイ所得がある場合に「ハワイ調整後総所得 ÷ 連邦調整後総所得」の割合で按分適用。

③繰越の期限を明確化
旧制度(非還付型)で生じた繰越控除は、2024年末または2025年末を期限に整理・終了します。

あなたへの影響

ハワイで働く低中所得の方は、納税額がゼロでも現金で還付を受けられます。非居住者でもハワイ源泉所得があれば対象になります。繰越控除を持っている方は、適用期限に注意してください。

法案原文(該当箇所)

"Each qualifying individual taxpayer may claim a refundable earned income tax credit."
"For a part-year resident or a nonresident, the tax credit shall equal the amount of the tax credit calculated in subsection (a) multiplied by the ratio of Hawaii adjusted gross income to federal adjusted gross income."
(S.B. No. 1466、2025年4月23日承認)

Act 58|パス・スルー事業体の「二重控除」を禁止

背景:SALT制限とPTE税の仕組み

2017年の連邦税制改正(Tax Cuts and Jobs Act)により、連邦税申告における州・地方税の控除(SALT)が年$10,000に制限されました。

これへの対策として、多くの州でPTE(Pass-Through Entity)税が導入されました。パートナーシップやSコープなどの事業体が「事業体レベルで州税を支払う」ことで、個人ではなく事業の経費として処理し、SALT制限を実質的に回避する仕組みです。
ハワイも§235-51.5でこの制度を採用しています

何が変わったか

今回のAct 58では、以下のルールが追加されました。

①控除と税額クレジットの二重取り禁止
「事業体が支払った州税」を個人の所得控除(経費)に使いつつ、さらに税額クレジット(直接的な税の減額)も受けることは認められません。

②所得への加算(Add-back)義務化
税額クレジットを請求するメンバーは、事業体が支払った税額の自分の持分相当額を、個人の課税所得に足し戻す必要があります。

具体的なイメージ

例:あなたがSコープの50%オーナー、事業体がハワイ州税$20,000を支払ったとします。

  • あなたの取り分:$10,000
  • 税額クレジット:$10,000(個人税から直接差し引き可)
  • ただし:課税所得に$10,000を加算しなければならない

クレジットを使う代わりに、所得が増える。これにより「個人レベルでの州税の所得控除+税額クレジット」の二重取りが防がれます。

あなたへの影響

ハワイでパートナーシップ・Sコープ・LLCなどを通じて事業をしている方は、PTE税の節税効果の計算を見直す必要があります。税務申告の際、Add-backの処理が正しく行われているか、税理士・CPAに確認することを強くお勧めします。
「今回の申告書(N-20, N-35等)において、Add-back処理が正しく行われているか最終確認してください」

法案原文(該当箇所)

"Any qualified member claiming a credit shall not be entitled to deduct from the member's Hawaii state taxable income those amounts of Hawaii state income taxes paid by the member on the qualified member's distributive share…"
"Any qualified member claiming a credit shall add to the qualified member's taxable income the qualified member's share of taxes paid by an electing pass-through entity under this section."
(H.B. No. 1146、2025年5月15日承認)

3つの改正を並べると見えてくること

Act 24:高所得者の「後払いリスク」を解消
Act 25:低中所得者への「確実な現金還元」を制度化
Act 58:事業者の「節税スキームの適正化(行き過ぎ防止)」

つまり、「高所得者からはきちんと取る」「低所得者にはきちんと返す」「事業者の抜け道は塞ぐ」という、税の公平性・適正化に向けた一貫した方向性が見えます。

実務上の確認ポイント

給与所得者の方
→ 勤務先に源泉徴収額の見直しを確認する。特に年収が高い方は給与明細をチェック。

低中所得で働いている方
→ 連邦EITCを申告しているなら、ハワイ州EITCも忘れずに申告を(N-11フォーム)。

パス・スルー事業体のオーナー・メンバーの方
→ PTE税を利用している場合、Add-back処理が申告書に反映されているか確認を(N-20・N-35フォーム)。

参照先
ハワイ州税務局(DOTAX)公式サイト
関連フォーム:N-11、N-15、N-20、N-35および各インストラクション

要点整理

2025年に成立したAct 24・25・58は、いずれも「知らなかった」では申告ミスや損失につながりかねない重要な改正です。

  • Act 24:源泉徴収の8%上限撤廃→給与天引き額が変わる可能性
  • Act 25:EITCの現金還付が確定→非居住者にも適用
  • Act 58:PTE税のAdd-back義務化→事業体オーナーは申告内容を要確認

自分のケースに当てはめて不明な点がある場合は、ハワイ州のCPAや税理士への相談をお勧めします。

※本記事は2025年ハワイ州議会成立法案(Act 24 S.B.1470、Act 25 S.B.1466、Act 58 H.B.1146)の原文に基づき作成しています。個別の税務判断については専門家にご相談ください。

参照資料・公的ソース(Primary Sources)
今回の改正内容に関する一次情報は、以下のハワイ州議会および税務局の公式サイトでご確認いただけます。
Hawaiʻi State Legislature (hawaii.gov)
ハワイ州税務局 (DOTAX) 公式サイト

■ 免責事項
本記事は、2025年に成立した各法案の原文に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されています 。

税務申告は個別の状況により判断が異なるため、具体的な手続きに際しては必ずハワイ州の公認会計士(CPA)や税理士等の専門家にご相談ください。 本記事の情報に基づく判断によって生じた損害等について、当サイトは一切の責任を負いかねます 。

※本内容は2025年度分(TY2025)の確定申告から適用されています

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